「燃費、実際とは5~15%乖離」「補償は燃料代にプラスアルファ」

三菱自不正・会見詳報(4)
三菱社製自動車の燃費試験不正行為で、国土交通省への報告を終え会見に臨む益子修・会長兼CEO(中央)=11日午後、東京都千代田区(撮影・春名中)

 三菱自動車の益子修会長と相川哲郎社長は11日、燃費データ改竄問題で記者会見した。

 --海外販売の影響は

 益子修会長「アメリカ向けの車両や欧州向けの車両などは測定値について、その国の法規にのっとった適正なものにしている。だから海外では日本と違って影響がない。なぜ日本の軽でこの問題が起きたのか。そこが一番、分かりにくいところ。なぜ米国はしっかりやったのか。時間がかかるが非常に分かりにくい。納得いく説明が得られていない。それでみなさんから説明になっていないと指摘されている。そこが解明できれば、かなりの部分、お答えできるのではないか」

 --日本の型式指定はメーカーの数値を信用しているところがある。それが信用できなくなったことの責任をどう考えるか。自工会副会長職はどうするのか

 相川哲郎社長「自工会の副会長は辞任いたします。もう申請している」

 益子会長「企業が正しい数字を申告することによって成り立つ制度を著しく傷つけたことを申し訳なく思っている。他のメーカーにご迷惑をかけたことは真摯に反省している」

 --RVRに問題があるのに、国内で4車種以外の販売を続けるのはなぜか

 相川社長「正しい方法で燃費を測定したが結果は、最初に申請した燃費とは乖離がないと判断している。軽の燃費とは違うと思っている」

 --測定方法が違うなら違法状態なのでは、日本で販売を続けるのはなぜか

 相川社長「こういう場合は販売を停止するという規定がない。国交省からは全体感を踏まえて改善や指導があると思うので、それを踏まえて対応とする」

 --軽4車種の燃費で独自調査はどうだったのか

 横幕康次開発本部長「現在調査していて、これまでの会見で5~10%の乖離といっていたが、今回の確認では5~15%程度前後くらいまでばらついた数字が出ている。具体的な数値は検証していただいているので差し控える」

 相川社長「国交省が測定している。その数値が正しくなると考えているので」

 --15%はどのモデルか

 横幕開発本部長「さし控えたい」

 --15%も違ったら何かおかしいというのは開発で気づかないのか

 横幕開発本部長「中身を分析している…」

 《声が小さく報道陣から「マイク入れてください」との声》

 「ご指摘いただいたようにどうして15%の乖離が出ているのか調べている。走行抵抗値だけなのか、路面や風の影響もあるので、その影響も踏まえて分析したい」

 --燃費を図るのは子会社かもしれないが、重量とかトータルできまる。なぜ他の部署は不正に気づかないのか

 横幕開発本部長「問題と思っている。車両重量やコンポーネントの担当が、車としての目標達成という意識が十分ではない中で、コンポーネントの達成で満足していた」

 相川社長「乖離が大きかったのになぜ気づかなかったのか。子会社がやっていることを、性能実験部が中身を知るべきであった。それぞれのところで、走行抵抗値でそれぞれの関心度は極めて薄かった。管理職複数と書いてあるように、複数の関係者で関心がなかった。あるいは上への報告がなかったと。ある人に聞けば、上が下をかばっているかもしれないし、下が上をかばっているかもしれない。だからヒアリングで一方的にきくだけではまずいと思って、多面的なヒアリングをしている」

 --役員報酬の減額は

 相川社長「考えているが、それは全体が分かってから」

 --現時点での補償の考え方は

 相川社長「まずは乖離した燃費分の燃料代の補償、総合的に判断してプラスアルファの補償を考えている」

 --いつまでか

 相川社長「燃費の正しい数値を分からないとランクが決められない。いま国土交通省さまで調べて、それをベースに届け出をし直して、それが認可された時点で燃費が特定できる。一刻も早く対応したいが、少し時間がかかる。お客さまに対しては今週、販売会社からおわびとそれからこうしますというメッセージをDM(ダイレクトメール)で送っている」

 --担当者はどんな要請を感じていたか

 相川社長「最初のプロジェクトで『燃費が一番の訴求』という合意があり、それをベースにプロジェクトは動いている。それぞれのところでやるうちに、競合他社が目標を上回る燃費を出してきたことが重なった」

--要請を受けて上がったものに対して、開発本部長や車両のトップはおかしいという認識した部分はなかったか

 相川社長「下からの報告をそのまま受け止めている。そこにどうして走行抵抗値がこうなったか会話や検証がなされていないのが問題だった」

 --外部からみますと、ほかの方に経営を委ねた方がいいのでは

 益子会長「やめないのではなく、道筋をつけないといけない。それも経営責任。他の方に委ねるのもそうはいかない。将来を見据えてしっかり考えて対策を取らないと行けない」

 --グループに支援は求めないといったが、補償の話ではなく他の支援も求めないのか

 益子会長「グループから多くの人材を出してもらっている。支援とはおそらく金銭的な支援のことをおっしゃっていると思うが、その必要性は感じてはない。ただ人材についてはこれからも支援していただきたいと思っている。特に品質統括本部はよくなったという認識だが、重工から来た方がトップとして改善した。この方は戻られたが、こうした人的な支援はお願いせざるを得ない」