お客さまには「何とか乗ってほしい」

三菱自不正・会見詳報(5終)
三菱社製自動車の燃費試験不正行為国土交通省への報告後に開かれた記者会見を終え、退席する益子修会長。左奥は相川哲郎社長=11日午後、東京都千代田区(撮影・春名中)

 三菱自動車の益子修会長と相川哲郎社長は11日、燃費データ改竄問題で記者会見した。

 --国内の生産体制について。軽自動車から撤退しないとのことだが、生産ラインの維持と販売台数のバランスをどうとるのか

 相川哲郎社長「現時点ではまだ答えられない」

 --専門家に取材したところ燃費性能が15%乖離すると、排ガスにも影響が出る」と言っていた。前回の会見では「問題ない」とのことだったがどうか

 横幕康次開発本部長「問題ない。基準を満たしていることを社内試験で確認している」

 --軽自動車のデータ改竄は、本部長がトップとして関わっており、プロジェクトチームの人数もさほど多くないのに、なぜ調査が遅いのか

 横幕開発本部長「時間がかかっているのは申し訳ないが、関係者が多く、また周辺にも聞いているため」

 --「eK」の燃費目標について、益子会長から指示したことは

 益子修会長「ありません」

 --「不正を認識していた」という子会社の人は、具体的にどう話しているのか

 横幕開発本部長「繰り返しになるが、本人は『目標を達成できる』と考えていた。転がり抵抗の削減などいろいろなメニューがあって、その組み合わせで達成できると判断して開発を進めていた」

 --そうではなく「達成できない」とわかった時点でなぜ不正を行ったのか、どう説明しているのか

 横幕開発本部長「実走行時に、風の抵抗が少ない一方向を走ったデータだけを集めていた。この方法では高速惰行法にも適合していない、それは本人もわかっているはずだから『意図的(不正を認識していた)』と申し上げた次第だ」

 --では、本人は具体的にどう説明しているのか

 横幕開発本部長「『不適切なデータ処理をした』『非常に後悔している』と。燃費目標を達成しなくてはならないが、最後の最後で達成できない状況の中で、不正を行ったのだと思う。三菱自動車本体の人間も最終の燃費試験に関わっている。そこで何らかの指示があったのではないかと考えている」

 --子会社に本社から指示をしたのかどうか

 横幕開発本部長「双方に確認をとらなければ『こうだ』といえない。誰にも相談せずに不正をした状況ではない、MAEだけでなくMMC(三菱自動車)も関与して試験をしているので」

 --「RVR」以外の車種についても、実測した結果、数値があまり乖離していないので販売停止はしないわけか

 相川社長「そうです」

 --具体的にどれくらい数値の乖離があるのか

 「数%。ばらつきの範囲内です」

 --5%以下?

 相川社長「そうです。その範囲は許容されると考えている」

 --今後、新型車の販売スケジュールが遅れる可能性もあるのか

 相川社長「あると思います」

 --「MAEの管理職は試験に立ち会わなかった」とのことだが、聞き取りに対する説明は

 横幕開発本部長「本人が非常にショックを受けている中、なかなかきちんと話を聞けていない」

 --MAEの人間がデータ改竄をした、しかしプロなら見抜けると思うが

 「データを一見すると正しいか不正かわかりづらい。会議の場で情報共有していたわけでもない。その経緯について聞き取りをしている」

 --MMCの人間はどう説明しているのか

 「データ処理の方法について指示をしたのかどうか、調査をしている。明確な指示はしていないようだが、関係者はその一人なのかどうか調べているところだ。『タイで良い走行抵抗データの数値を出すことについて相談を受けた』と説明している」

 --ダイハツさんとかスズキとか協業の検討は

 益子会長「いままでそういうことを検討したことはない。日産さんとの軽で問題起こしたので解決して、在庫車もあり生産も停止しているので、この問題を解決しないことには前に進めないので」

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 --前の会見では全体の解明に3カ月くらいかかると話したが、18日にすべて調べ終えて最終報告か、中間報告になるのか

 益子会長「3カ月は外部調査委員会のことを申し上げた。外部調査委員会は調査の対象範囲や深さとか、そこはあずかり知らないところ。一方、社内調査はある程度、焦点をしぼって。原稿販売の9車種、ここのところは調べなくてはいけない。過去についてもできるだけ調べましょうと。外部委員会はもっと広げると思う。それが3カ月ということだと思う」

 --こちらはどこに絞るのか

 益子会長「軽の4車種、現行販売の9車種。10年前までさかのぼって、資料が保管されているので」

 --ユーザーへの対応は軽4車種のみか、またプラスアルファの内容は

 相川社長「考えているのは4車種。プラスアルファの内容はまだ明確にしていない。きょうは申し上げられない」

 --消費者からはもう乗りたくないという声がある

 相川社長「各販売会社のアフターサービスを含めて、なんとか乗っていただけるようにしたい」

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