ディーゼルエンジンは、シリンダー内で圧縮されて高温になった空気に、軽油を噴射して爆発させる仕組みだ。圧力と温度が高すぎると、軽油と空気が十分混ざらず不完全燃焼し、すすやNOxの発生を招いてしまう。このため、1990年代からディーゼル人気の高い欧州を中心に、燃料噴射のタイミングを電子制御で最適化したり、排ガスに尿素水を吹き付けて化学反応でNOxを減らす環境技術が広がった。
マツダもこうした新しい環境技術を欧州仕様車に採用していたが、NOx除去装置を搭載する分、車両価格が高くなる。このため、日本市場では普及が進んでいなかった。
そこで、NOx除去装置が不要なエンジンを目指して開発されたのがスカイアクティブ-Dだ。シリンダー上部の燃焼室の容積を広げて、すすやNOxの発生要因となる「圧縮比」を14.0と世界最低レベルに下げることで不完全燃焼を抑制。シリンダー内の圧力が低くなることで、エンジンの「骨格」に当たるシリンダーブロックをアルミ製に変えることが可能となり、これまでより25キログラムの軽量化につながった。