金の国内価格が約33年ぶりの高値圏で推移している。欧州など世界経済に対する懸念から、安全資産とされる金に資金が流れ込んで国際相場が上昇した上、昨年11月からの円安進行で円換算の国内価格が押し上げられたからだ。
現物を購入するよりも手軽な金のETF(上場投資信託)が個人の投資機会を拡大し、信託銀行が企業の年金運用向け商品に金を組み込む動きも出てきた。安倍晋三政権がデフレ脱却を実現できれば、現金の相対的な価値低下につながるため、金投資がこれまで以上に注目される可能性もある。
33年ぶり高値圏
「こちらの7点、58万円で買い取らせていただきます」
東京都中央区にある貴金属買い取り店「ゴールドプラザ」。男性店員の提示額に豊島区の主婦、山口千嘉さんは驚いた。使わなくなったネックレスや指輪を持ち込んだが「ここまで高くなるとは思わなかった」という。同店では「為替が円安になり始めた昨年末から金の買い取りを希望する方が増えている」といい、来店客や電話での問い合わせに忙しく対応していた。