ミドリ安全【拡大】
安全衛生保護具を展開するミドリ安全(東京都渋谷区)は、発展途上国ラオスに主力製品である安全靴の工場を立ち上げ、進出を目指す日系企業の手本として注目を集めている。人口700万人に満たない農業国で、優秀な軽工業の労働者を育成するには並々ならぬ努力が必要だったが、労働環境を向上させる試みや日本流の人材育成術が実を結び、競争力の高い「ものづくり」を実践している。
安定した経営環境
「落ち着いた政情、おおらかな国民性、安定した電力供給…。安心してビジネスに打ち込める環境がラオスにはある」。フットウェア統括部生産部の先崎文隆執行役員は、ラオス進出の決め手となった経営環境の安定性について、こう話す。ラオスには革製品に対する税制上のメリットもあり、経営陣の決断は早かった。
ただ、そこに至る道のりは長かった。ミドリ安全が海外進出を検討し始めたのは2005年ごろ。国内では人件費が上昇し、消耗品である安全靴の価格競争力が失速した。地理的に近いアジアへの進出が現実的だった。