そこでこの数年、自動車産業の一大集積地である東海地方の下請けで増えたのが、「内職」への発注である。工場周辺に住む主婦などに部品の加工を委ねるわけだ。地元の人材派遣会社社長によれば「人材派遣を使うより、外国人技能実習生を雇うほうがずっと安い。さらに安上がりなのが内職に出すこと」。
人を雇えば最低賃金などの縛りがあるが、内職に頼めば事業者同士の取引なので値切りに値切れる。こうすれば、時給換算で200円台という破格の手間賃で人が使えるケースもあるという。
根っこを内職に頼っていて、ものづくり大国の今後は大丈夫かと不安になる。何しろ、働くのは完全な素人だ。愛知の自動車部品メーカーで購買担当をしている知人は「マスクなしで有機溶剤を使って作業している内職さんもいる」という。際限ないコストダウンの終着点は、そんな仕事場になりかねない。