そこで「ウルトラライト&コンパクト」というテーマでボトルを革新しようと古和氏に指令が下った。持ち前のものづくり魂に火が付き「趣味じゃないの?」といわれるほどに古和氏は軽量化技術の開発に熱中したという。
ステンレス製魔法瓶は、「外瓶」と「内瓶」との二重構造。その間を宇宙と同じ水も空気もなく、温度を伝えることがない真空状態にすることで、飲料の熱が外に逃げるのを防いでいる。
スリムな形状のケータイマグは、「ステンレス板そのものを薄くするとともに、2つのステンレス板の間の真空層をできるだけ薄くしつつ、保温・保冷機能と耐久性、容積を満足させなければならない」(サーモスマーケティング室広告宣伝課の山本敏雅マネジャー)。
板をあまりに薄くすれば強度を損なう。繰り返しシミュレーションして見いだしたのが0.08ミリという薄さで、真空層を1ミリ程度にするというバランスだった。古和氏は競合を引き離す軽量化技術への貢献度が認められ、2012年に社長賞に輝いた。