一般競争入札で設置された自動販売機が思わぬ歳入をもたらした=中野区役所2階【拡大】
飲料各社には、今回も消費税増税時に価格転嫁すれば、消費者の「自販機離れ」が再び起きるのではという懸念がある。そこで、高単価商品を商品群に紛れ込ませて自販機内の価格を底上げすれば、「(価格転嫁による)値上がりへの抵抗感を緩和する効果がある」(調査会社飲料総研の宮下和浩氏)というのだ。
エナジードリンクの自販機での販売について、飲料各社は「消費税増税は関係ない」と否定する。とはいえ、「増税後の値上げをにらんだ布石に違いない」との見方は業界周辺で消えていない。
日本自動販売機工業会によると、24年末時点の飲料用自販機台数は前年末比1・3%増の約256万台。自販機は飲料各社の利益全体の約6割を稼ぎ出すとされ、業界にとって“ドル箱”の存在なのだ。
アサヒは自販機1台当たりの売上高や売れ筋商品などのデータを蓄積・分析するシステムを今年から導入した。自販機をめぐる各社の商品戦略はますます重要になっており、各社の試行錯誤は当面、続きそうだ。