ビール大手4社の主なPBビール【拡大】
12年11月に投入した100%モルトは、メーカーと小売りのブランドを並列表示する「ダブルチョップ」を国内のPBビールでは初めて採用。価格も350ミリリットル缶で198円と看板商品の「黒ラベル」よりも約1割安く、業界内の耳目を集めた。だが、上期(1~6月)の販売はNBの高級ビール「エビス」が前年同期比1.7%増だったのに対し、好調かと思われたPBビールは苦戦しているもようだ。
野瀬氏は「嗜好(しこう)性が強いビールの新ブランドが認知されるには、ある程度の時間がかかる」とした上で、「一時的な減少に着目するのではなく、長い目でみて判断すべきだ」と、腰を据えて取り組む考えを強調した。
安価なPBビールがヒットすれば、NBビールが価格競争に巻き込まれる-。そんな懸念から各社は従来、PBビールを数量限定販売に設定し、さらに小売り側のロゴも入れず、メーカー主導の形にこだわってきた。
国内シェアが4位と苦戦するサッポロは、こだわりを捨て去ってでも流通2強の一角を占めるセブン&アイとの関係強化で得られるメリットの方が大きいと判断。100%モルトは、そんな「苦渋の決断」から生まれた。