ビール大手4社の主なPBビール【拡大】
「これだけの短期間にさまざまなPBを出せば、ビールそのものの魅力が下がり、メーカーのブランド価値の低下にもつながりかねない」。キリンビールの林田昌也マーケティング部長は、こう指摘する。
大手小売りの販売力は無視できず
キリンのPBビールは12年6月にセブン&アイ限定で投入した「グランドキリン」だけ。安さを売りとするPBとは一線を画し、独自製法のホップや軽量化した瓶を使うなど差別化にこだわった。「PBビールも淘汰(とうた)が進み、価値のあるものだけが残る」(林田氏)との判断から、1つの商品をじっくり育てる戦略が奏功し、グランドキリンは当初の年間販売予定(8万ケース)の2倍近い15万ケースが売れる大ヒット商品となった。
少子高齢化や若者のビール離れが進む中、「商品戦略はローリスク・ハイリターンにしなくてはならない」(アサヒビールの小路明善社長)というのが各社の共通認識。その成功例の一つがグランドキリンだ。