■「貸し切り感・おもてなし」に強み
≪STORY≫
藤田観光が高級宴会場「太閤園」(大阪市)に、新しい「和」の婚礼施設「ゲストハウス桜苑(おうえん)(ouen)」を開業し、2カ月がたった。茶室や庭園など「和」の雰囲気を生かした貸し切り感とおもてなしに気を配り、評判は上々だ。
「結婚式場の決定権は女性が握っていることが多い。だったら女性の目線で改めて理想の婚礼施設とは何かを考えるところからスタートしました」
一貫して桜苑のプロジェクトに関わった内海緑・太閤園婚礼課チーフマネージャーはその当時を振り返る。
ゲストハウス桜苑は「桜の通り抜け」で有名な造幣局、大阪城からほど近い緑に囲まれた一角にある。藤田観光は2011年3月、太閤園に隣接する旧桜宮会館跡地(約3000平方メートル)を取得。12年3月、ゲストハウスを念頭に置いた新たな婚礼施設のプロジェクトがスタートした。同社のゲストハウスとしては、南青山CONVIVION(コンヴィヴィオン、東京都港区)に次いで2カ所目となる。
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晴れの舞台の最たるものである結婚式。主役の新郎新婦にとって、余計な気を使うことなく楽しんでもらえるかが、婚礼施設の評価の良しあしにつながる。
結婚式や披露宴は主に週末、さらに大安などに集中しがちで、同じ日に披露宴が3組入ることも珍しくない。新郎新婦、式場側にとっては、披露宴の入れ替えの時にどうしてもあわただしくなってしまうのが悩みの種だ。
そこでこだわったのが「貸し切り感とおもてなし」(内海さん)。バンケットルーム(宴会場)は1階と2階にあるが、建物の外側に階段を設け、2階での披露宴終了後、スムーズに移動できる動線を設けた。これにより、披露宴の入れ替えの時にも、次の式場利用客とかち合うことがなくなり、貸し切り感の演出に一役買うことになった。