「貸し切り感とおもてなし」というコンセプトは施設以外の面でも生かされている。一流の高級食材を使った婚礼料理は披露宴の楽しみの一つ。花嫁衣装はきらびやかで見た目には豪勢なのに、料理が貧相ではせっかくの披露宴が台無しだ。
そこで桜苑では、会場で調理の実演を行う「ライブキッチン」形式を導入した。披露宴ではあらかじめ調理した料理が運ばれることが多いが、調理風景をエンターテインメントとして新郎新婦や参列者にも楽しんでもらえるようにした。厚みのある肉をその場で焼いて提供することで、温かい料理を温かいうちに食べることができるのが最大の魅力だ。
挙式、披露宴当日に行うことが多い新郎新婦の記念撮影では、事前に撮影する「前撮り」を取り入れた。挙式・披露宴は分刻みでの行動を余儀なくされ、落ち着いて撮影に臨めないことも少なくない。当日のあわただしいなかでの撮影よりも、気持ちに余裕がある別の日の撮影の方が生き生きとした表情の写真が撮れるという。利用客からは「挙式、披露宴が悪天候だったので、事前の打ち合わせの時に撮影してよかった」などの感想も寄せられている。
結婚に対する価値観が時代とともに変化、多様化している。親族や来賓に心ゆくまで楽しんでもらえるような一日をどう演出していくか。藤田観光の真価が問われるのはこれからだ。
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■「新郎新婦に夢を」 滑り出しは上々
≪TEAM≫
太閤園の新しいゲストハウス「桜苑」のコンセプトの立ち上げから関わった内海さん。建物から料理など細かなところに至るまで、桜苑のすべてに関わったが、設計事務所などとの交渉では苦労の連続だった。
専門用語が数多く飛び交い、わからないことだらけ。設計や建築の担当者にその都度教えてもらいながら、打ち合わせることで乗り切った。