≪FROM WRITER≫
結婚の価値観が多様化し、挙式や披露宴をしないカップルも少なくないという。そのうえ、少子化が進み、婚礼業界を取り巻く経営環境は厳しくなる一方だ。
もちろん、式場側も知恵を絞ってサービスに工夫を凝らしている。さまざまな事情から入籍のみで結婚式を挙げることができなかったカップルに着目。子供のお披露目を兼ねた「パパママ婚」が静かなブームとなっている。
子供のお披露目といえば、山梨や千葉、茨城などでは、結婚式さながらの七五三の披露宴をする地域もあるという。このほか結婚25年目を祝う銀婚式、30年目の金婚式など、節目の年に合せて、子供の成長とともにお祝いのパーティーを開くケースも増えている。
婚礼会場というインフラを生かし、若者のライフスタイルの変化や地域の風習をとらえ、商品化する動きが加速している。式場の総合力、企画力が試されていると感じた。(松村信仁)
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≪KEY WORD≫
■藤田観光
ホテル椿山荘東京(東京都文京区)や高級宴会場の太閤園(大阪市)、ビジネスホテルチェーン「ワシントンホテル」、箱根小涌園をはじめとするリゾートホテルを持つ観光業大手。山口県萩市出身で関西財界の重鎮だった藤田伝三郎氏(1841~1912年)が1869年に創業した藤田伝三郎商社が源流。藤田観光は戦後、藤田家が所有していた土地や建物などを受け継いで観光業を始めた。東証1部上場。従業員数約1100人。2012年12月期の売上高は前期比5.5%増の604億円。13年12月期売上高は620億円を見込む。