和風の婚礼会場として太閤園が開業してから半世紀が過ぎ、親子2代での利用も少なくない。本物を求める新郎新婦からは高い評価を得ており、「あの太閤園なら、きっとすばらしいものができるはず」との前評判も高かった。
それだけにプレッシャーも大きかった。桜苑の開業日は9月1日だが、予約はその数カ月ほど前から受け付けを始めた。施設は完成しておらず、予約に来た客にはタブレット端末やイメージ写真が載ったパンフレットなどを活用して説明した。内海さんは「お客さまがどうしてもイメージがわかず、商談を進めるのに苦労した」と振り返る。
イメージを持ってもらうにはどうしたらよいか。内海さんとともに立ち上げから関わった婚礼課の中尾吏江マネージャーは、営業説明用のイメージ写真の修正を10回以上行った。「新郎新婦が夢を膨らませられるようにしたい」という販売サイドの意向を反映させるのにも苦慮した。
全従業員が参加してのミーティングを繰り返し、日々気付いたことなどを報告し合うことで、スムーズな式の進行などさらなる改善を重ねる。そのかいもあり、来年の予約状況は、春を中心に50組以上の予約が入る上々の滑り出しだ。
◇
■挙式・披露宴の費用は増加傾向
≪MARKET≫
結婚式場関連業界は、少子化に伴う婚姻件数減少の影響を受けている。厚生労働省の「人口動態統計」によると、婚姻件数は1972年の約109万組を境に減少傾向に転じており、2012年は約66万組とピーク時の約6割の水準だった。今後も結婚適齢期(20~34歳)の人口減少が見込まれ、婚姻件数の減少が進む可能性が大きい。