なぜ、離れてしまったのか。その答えを探すとき、ひとつの参考となるのが、英二氏が目指していたクルマづくりとは何かを考えることだ。
「英二氏は常に、次の次を見ていた気がする。時代が、世界が何を求めているのかを問い続けてクルマをつくっていたのではないか」と前出の関係者は分析する。事実、大衆車「カローラ」を発売後、英二氏はこう語っている。
世界中に生産革命
「カローラはモータリゼーションの波に乗ったという見方もあるが、私はカローラでモータリゼーションを起こそうと思い実際に起こしたと思っている」
会長時代には、米国で「ブランドの奇跡」とまで称された高級車ブランド「レクサス」を立ち上げた。世界初のハイブリッド車「プリウス」も、英二氏の「21世紀にふさわしいクルマをつくれ」という言葉がなければ実現しなかった。
英二氏は大衆車からスポーツカー、高級車、エコカーを世に送り出し、トヨタを世界的な企業に押し上げた。ただ遺産はそれだけではない。国内外の製造業の手本となるものづくりの基礎を築き、世界中に生産革命を起こしたのだ。(佐久間史信、島田耕)