スパイクは、サッカー選手が唯一自分で選べる重要な商売道具。家族の名前を刺繍(ししゅう)する選手が多いが、本田は自身の名前以外を入れたことはなかった。「10」の刺繍は、小学校の文集で「セリエAで10を付けて活躍する」と本田が将来の夢を書いていたことから、ミズノ側が提案したという。
「モレリア」「ソニック」など、自社製サッカー用スパイクを約30年前から販売しているミズノだが、実はプロ用を一般用と分けて特別に開発しているわけではない。本田は高校時代は自分でミズノ製品を購入しており、契約して用品提供を受けるようになったのはプロ入り後から。「イグニタス」を共同開発するに至ったのは、2006年のW杯ドイツ大会で注目された「無回転シュート」のスペシャリストが、日本人選手では本田しかいなかったからだった。
「本田と同じ靴」という効果
「本田選手にしかできないスペシャルシュートをサポートするスパイクができても、一般人には売れない。うちはスポーツメーカーですから、一般消費者にとって価値あるものを提供するというのが重要で、そこから検討しました」。「イグニタス」の企画を担当した宮本暁史さん(30)はこう話す。