KDDIは「純増は指標にならないから追うのはやめる」(田中社長)と宣言して以来、番号持ち運び制度(MNP)による転入数トップに固執。他社からの乗り換え契約者獲得のための販促費を集中投下し、2月まで29カ月連続でトップを維持している。純増競争のゆがみを各社が感じていたわけだ。
■かき回し役から業界リーダーへ
ソフトバンクは08年7月に、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)3G」を発売して以来、純増トップを揺るぎないものにしたが、11年7月にKDDIが、13年9月にはドコモが発売して3社が扱う端末の差はなくなった。
ソフトバンクの月次契約数終結宣言は、市場環境の変化によって「純増トップの維持が難しくなってきた」(同社幹部)ことが大きな理由のようだ。
ソフトバンクは3月中旬、代理店に「キャッシュバックが高騰して健全でない状況を通信事業者として問題視しており、率先して是正を図る」とメールを送信。最大で1契約5万円支払っていた代理店向け販売報奨金を3万円に引き下げるなど販促費の減額を断行した。
ソフトバンクは、挑戦的な料金プランや0円端末、割賦販売など業界の慣習を打破して上位2社を追ってきた。それが年度末商戦のただ中に戦線離脱に近い措置に踏み切ったことに、2社は驚かされた。総務省が過剰な販促キャンペーンの見直しなどスマホ販促の問題点の検討を始めたとはいえ、ソフトバンクの決断に2社が追随。3月末で「1人最大8万円」などのディスプレーが店頭からほぼ姿を消したのは事実だ。