中野氏は2012年末に赴任。現地法人は、同島中部トラジャの山岳地帯で手がける「パダマラン農場」と、その周辺農園から仕入れる高級コーヒー豆「トアルコ トラジャ」を、主に日本に輸出していた。
人口約300万人のマカッサルは、経済成長率で首都ジャカルタを上回る。街中に現地資本のカフェがあるほか、米スターバックスなど大手チェーンも出店を進める。だが、同島最大の生産者であるトアルコ・ジャヤのコーヒー豆は「ほとんど国内に流通しておらず愕然(がくぜん)とした」(中野氏)。
中野氏が考えたのは、それまでなかったインドネシア国内向けの営業拠点と直営カフェの設置だ。それから約1年半、今年4月、マカッサルに国内の流通業者やカフェオーナー向け営業拠点を開設。そして今回の直営カフェ開店にこぎつけた。
もともと勝算はあった。営業拠点では、トアルコ トラジャを使い、日本式の丁寧な手で湯を差し入れるハンドドリップ方式でのコーヒーの入れ方などを教えているが、「たいていの人がおいしいと言ってくれる」(中野氏)。すでに13年に国内販売量を前年比20%増に伸ばしたが、拠点を設置した今年5月以降の売り上げは「前年同月比で2倍の伸び」を記録。まだわずかな量だが「手応えを感じている」。