江戸時代の和歌山の風景や風俗を絵図などで解説した「紀伊国名所図会」には駿河屋の看板商品「本ノ字饅頭」についても記されている。江戸が発祥ともいわれる練羊羹は、西日本では駿河屋との説が根強い。
鈴木元教授は「老舗の経営哲学や経営努力の一方には、お客が商品を愛し求めるという支え合いの関係がある。老舗は単に古いのではなく、長年続いてきた地域の文化そのもの」と事業停止を惜しんだ。
歴史の彼方に…
「歴史や伝統だけでは売り上げ増につながらなかった。和菓子に対する意識が変わった」と解説するのは和歌山市のシンクタンク、和歌山社会経済研究所の木下雅夫事務局長だ。
とはいえ、今回の事態については「駿河屋の持つ古文書や資料なども散逸し、文化的な意味を考えると大きな損失になりかねない。『駿河屋』の商号が他で使われたり、日の目を見なくなることも考えられる」と危惧する。