3月28日に電源開発(Jパワー)が長崎県に持つ火力発電所が事故で停止すると、この発電所から電力を仕入れていた中国電力は関電への送電を減らすことにし、関電は東電に頼らざるを得なくなった。
広範に潜む危機
近畿経済産業局は6月19日、和歌山県海南市にある関電海南火力発電所に立ち入り調査を行い、保守管理態勢などを確認した。
同発電所の全4基は運転開始から40年超。「法定の基準ではないが、事故の危険性を考慮して廃止が検討される」(経済産業省電力基盤整備課)年数だ。しかし、同発電所を含め関電は40年超の火力を6基(合計出力330万キロワット)運転しており、今夏の供給力の1割強を占める。
また関電は今夏に火力をフル稼働させるため、全35基のうち過去最多の10基(同596・3万キロワット)で定期点検の先送りを決めた。設備に疲労が蓄積する恐れもあり、同経産局の小林利典局長は「予期せぬ停止が重なれば供給の余裕が吹き飛ぶ」と指摘した。