これと並行して、自動給餌機の開発にも取り組む。現在の飼育では、手作業で日中2時間おきに餌を与えている。量産化に向け作業の省力化も進める。自動化で、夜も餌を与えられるようになれば、仔魚の栄養摂取量が増えて飼育期間の短縮につながる可能性もある。
水産総合研究センターは昨年から単独で量産化に取り組んできた。同センターがこれまで培った人工仔魚の飼育技術と民間企業が持つ製造技術を融合させてシステム開発を進める。
同センター増養殖研究所の桑田博資源生産部長は「最終的には、養殖で必要な稚魚の2~3割を人工稚魚に置き換えるようにしたい」と話した。(佐藤克史)
【用語解説】ニホンウナギの絶滅危惧種指定
国際自然保護連合(IUCN)が6月、絶滅の恐れがある野生生物を指定する「レッドリスト」にニホンウナギを加えた。日本の親ウナギの漁獲量は1981年の1920トンから2011年の229トンに減り、稚魚の漁獲量は過去30年間で90%以上減ったことなどが理由だ。レッドリストは掲載されても捕獲や国際取引の規制には直結しないものの、希少生物の国際取引を規制するワシントン条約の判断材料となる。