2003年に発泡酒の税率が上がってからは、より税率の低い第3のビールがシェア争いの主戦場となった。第3のビール市場は、13年にビール類全体の約37%を占めたほどだ。
一方で、発泡酒の販売量は右肩下がりだったが、今回の極ゼロ問題を契機に再び各社の新商品開発の焦点として浮上した。大手証券アナリストは「ビール類の販売競争の構図が変化することで、一番喜ぶのは税収が増える国側だろう」と皮肉った。
財務省はかねて、製法や原料によって複雑に分類されている酒税体系を簡素化し、税収の安定確保につなげたい方針を掲げてきた。国税当局からサッポロへの製法照会に始まった今回の極ゼロ問題は近い将来、酒税の簡素化をめぐる議論の導火線となる可能性もありそうだ。
各社にとって、ビールの税率引き下げは永年の悲願だが、多くの顧客を持つ発泡酒や第3のビールが引き上げとなれば、立場は複雑だ。(山沢義徳)