【わが社のオキテ】
いまやデスクワークに欠かせないパソコン。IT技術の進歩はめざましく、仕事の効率アップに大きく寄与するのは周知だが、サントリーホールディングス(HD)はパソコンの使用を禁止する時間を設けている。
なぜならITに頼りすぎると顔と顔を合わせる際のコミュニケーション能力を阻害しかねないという考えがあるからだ。米蒸留酒大手ビームを買収し、ローソンの新浪剛史会長を次期社長に招いてグローバル企業へと突き進むサントリーHD。世界戦略は“脱IT依存”から?
パソコン禁止!
とある水曜日の午後。大阪・堂島にあるサントリーHDの本社オフィスの空気が一変した。社員の多くがパソコンの電源を落とし、席を離れてあちこちでミーティングや勉強会を始めたのだ。
席を立ち得意先まわりに出かけたり、普段はなかなかいけない現場を見にいったりする社員も。社内でパソコンに触れる人間はほとんどいなくなった。社員がモニターに向かってキーボードを触るという一般的なオフィスとは一風変わった光景が広がった。