米軍を畏怖させた「ゼロ」の技術力 MRJに“妥協なき翼”継承 (2/3ページ)

2014.8.4 10:40

三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所史料室に展示されている零戦(復元機)=愛知県豊山町

三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所史料室に展示されている零戦(復元機)=愛知県豊山町【拡大】

 本社が置かれているのは名古屋市南部の三菱重工の旧事務所。昭和12年建造の白亜の建物は、「時計台」という通称が示すように、その屋上でモダンなデザインの時計が今も時を刻む。そして、さかのぼること七十余年、三菱重工のエンジニアだった堀越二郎氏が、この時計台3階の「機体設計室」で「零式艦上戦闘機(零戦)」の設計にあたった。ちなみに堀越氏は、昨年ヒットした宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」のモデルとなった人物だ。

 「最高速度500キロ、航続力8時間以上。海軍からのこんな厳しい要求に応えるため、堀越氏は軽量化や無駄な抵抗をなくす努力をしたんです」

 三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所史料室長の天野隆司氏(74)は、展示された零戦の復元機を前に、こう解説する。

 東大の鈴木真二教授(航空宇宙工学)は「戦時中に1万機以上が製造された零戦は、開発当時は確実に世界の航空の頂点に位置していた」と語る。高速でも低速でも同じように反応する操縦桿(かん)は、高速時に延びるように操縦ケーブルの剛性をあえて低下させた型破りな設計で、「戦後に欧米の航空研究者を驚かせた」(鈴木教授)という。

ずばぬけた戦闘力で米軍を畏怖「ゼロと格闘戦してはならない」

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