ローソンが店舗でいれたてコーヒーの提供を始めたのは、2000年代初頭のこと。これが今一つ定着せず、てこ入れをはかったのが11年9月に全国展開を始めたマチカフェだ。
コンビニといえば、「会話をしなくても買い物ができる」「早くて便利」というイメージが強かった。そこをあえて「接客重視、絆(きずな)重視をコンビニでやろういう発想で始めたのがマチカフェ事業」と、MACHI cafe推進部の松本佳代子・シニアマーチャンダイザーは話す。羽生さんも「マチカフェでローソン全体を変えようという気持ち」と、心意気を語る。
コンビニ店舗でコーヒーを売るのではなく、「街中のカフェをつくる」発想だけに、雰囲気づくりは重要だ。
メーンターゲットは20~40代の女性に据えた。ホームページをはじめ、飲み物を入れるタンブラーやマグカップなどの関連グッズは、ほのぼのしたかわいらしいデザインにして、女性に好まれそうな世界観を作り出した。店内で流すBGMのオリジナルアルバムまで発売する凝りようだ。豊富なドリンクメニューや焼き菓子、サンドイッチなどの軽食も、おしゃれ感を意識した。コーヒー豆は、松本さんら担当チームが南米の農園に足を運んで厳選し、ミルクも加熱方法を工夫して甘みとコクにこだわった。マチカフェの設置数は昨年比倍増の9100店超となり、店舗全体の8割まで増えた。