競合他社の「100円コーヒー」と差別化
一方、11年以降のマチカフェ事業の展開とほぼ時期を同じくして、競合他社の「100円コーヒー」がヒットした。社内でも当然、「価格重視の路線がいいのでは」という声はあったという。しかし、松本さんは「価格も品ぞろえも100円コーヒーに追随するのではなく、独自路線でいけばむしろ差別化になる」と説得した。「他社と同じことをやっていては勝てない」(羽生さん)。部署をまたいで構成するマチカフェ担当チーム約10人のコアメンバーたちは、そう考えたのだ。
品質重視に加え、マチカフェの柱となるのが接客だ。セルフサービスではなく手渡しで飲み物を提供するのは、主なコンビニではローソンだけ。多少の時間はかかるものの、ローソンには「接客のいい店舗は売れ行きがいい、という全社的なデータの裏付けがある」と、李明・広報担当はいう。
マチカフェのコーヒー提供も対面販売にこだわり、接客資格「ファンタジスター制度」を社内に設立した。店舗スタッフが資格を取得することで、働く意欲の向上につなげているという。「お客さまに選んでもらえる店舗を、マチカフェを通じて作りあげている」と、羽生さんや松本さんたち担当者は感じている。