海水を真水にする東洋紡の「膜」 高度な技術力…中東で圧倒的シェア (3/5ページ)

2014.8.11 09:30

東洋紡の膜が用いられた海水淡水化プラント=サウジアラビアの都市ラービク

東洋紡の膜が用いられた海水淡水化プラント=サウジアラビアの都市ラービク【拡大】

  • 出荷前の検査をする東洋紡の海水炭水化膜=山口県岩国市
  • 東洋紡の海水淡水化膜。ひとつの円柱に約150万本の中空糸が使用される

 理由は「塩分が高く、微生物が増殖しやすい中東の海水に非常によくあった」(藤原部長)ということが大きい。

 東洋紡は、膜の素材に塩素への耐久性が強いセルローストリアセテートを採用しており、ポリアミドと呼ばれる塩素に弱い素材を使っている他社製とは一線を画している。

 中東の海は塩分濃度が濃いうえ、微生物も多いことから微生物が膜に詰まりして繁殖しやすい。当然、真水の出が悪くなることが多く、場合によっては膜が破損することもある。

 このため、中東では膜の洗浄がどれだけ簡単かが重視され、洗浄剤として一般的な塩素への耐久性が強い素材であることが評価された。逆に、他社製の膜は塩素より高価な酵素を使った洗浄に頼らざるをえず、洗浄に時間がかかるのもネックとなっている。

 取水率の高さも普及の背景にある。東洋紡が海水淡水化膜を開発した当時、中東では海水を化石燃料で加熱する「蒸発法」が主流。膨大な化石燃料を使用するにもかかわらず、取水率はわずか十数%だった。

中東では人口増加が続いており、海水淡水化膜市場も拡大が期待できる

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