三井住友海上火災保険など損害保険大手が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使う再生医療の臨床研究向け保険を11月にも投入することが17日までに、分かった。治療で健康被害が生じた場合などに医療研究機関が患者へ支払う補償金を保険でカバーする。患者だけでなく医師らも医療リスクに備えることができるようになり、日本が先行する再生医療研究を後押しすると期待される。
前例のない臨床研究が多い再生医療分野は、治療のリスク評価が難しく、これまでは損害保険の商品設計ができなかった。
しかし、再生医療を提供する病院がとるべき手続きなどを定めた「再生医療安全性確保法」が昨年成立。11月に同法が施行されることに対応し、日本再生医療学会がこのほど被害補償の指針をまとめ、これに沿って同学会と損保業界が保険制度の整備に乗り出した。
制度は、研究機関に明白な過失がない場合も被害補償し、補償に不服があった場合は、同学会に設置する第三者機関に判断が委ねられる仕組み。現在詳細を詰めており、補償対象には医療費や治療のための交通費負担などのほか、患者が死亡したり、障害が生じた場合の逸失利益も含まれる見込み。