米紙ウォールストリート・ジャーナルは「IBMはようやく自らが抱える問題を認めるという痛みを伴う一歩を踏み出した。ただ、痛みを伴う歩みはこれからも続くだろう」と、IBMの前に続く道のりの厳しさを予想する。
1911年創業でコンピューターの黎明期から製造・開発を続けてきたIBMは、93年から2002年までCEOを務めたルイス・ガースナー氏のもとでサービス事業へシフトを進めてきた。不採算部門の売却や企業文化の改革で成果を残したガースナー氏は名経営者として名をあげ、著書「巨象も踊る」は日本でも話題を呼んだ。また後任のサミュエル・パルミサーノ氏も05年にパソコン事業のレノボ・グループへの売却を決断。中国企業による海外企業の買収としては過去最大規模だったこともあり、大きな注目を集めた。
一方、IBMは発行済みの自社株を買い戻して1株あたりの価値を高めたり、高配当を約束したりする「株主に優しい経営」でも知られる。その結果、02年7月に58ドルだった株価は13年1月には213ドルまで約3.7倍にも膨らんだ。ライバルのインテルは同時期に株価を約1.7倍にしかできず、ダウ工業株30種平均も約2倍にしか伸びなかったことを考えれば、IBMがいかに投資家から高く評価されていたかが分かる。