大手総合家電の一角だった三洋電機が“消滅”に向けてカウントダウンに入っている。平成21年にパナソニックの子会社になった後、白物家電やデジタルカメラなどの多くの事業が「グループの既存事業と競合する」と重複を理由に相次いで売却された。創業の地にある本社ビル(大阪府守口市)は守口市と売却交渉が進んでおり、近く本社機能は同大東市の事業所に移転する。今年4月にはパナソニック出身者が初めて社長に就任。かつて2次電池やカーナビで個性的なヒット商品を飛ばした三洋の痕跡はなくなりつつある。(藤原直樹)
完全統合大詰め
「パナソニックによる三洋の完全統合もいよいよ大詰め段階に入った」
パナソニックが来年4月から三洋と人事制度の一本化を検討しているとニュースで報じられたことについて、ある金融関係者はこう指摘する。
パナソニックは三洋の子会社化後も登記上の法人格を存続させている。ただ、三洋の事業の多くがすでに売却され、約10万人だった社員は散り散りになった。残った社員は1割以下の7千人程度。今年に入って本社勤務の財務や人事、法務などの間接部門の社員を対象に早期退職の募集が行われた。