東京都大田区の金属加工業「マテリアル」の細貝淳一社長は「仕事量が増えているのに利益が圧迫されている」と語る。材料費が2年前に比べて15%以上上昇し、電気代も高騰していることから「何とかプラスマイナス・ゼロの状態にしている」のが現状だ。
一方、円安メリットを享受するケースもある。大田区のアルミニウム加工会社は、主要顧客である輸出型の半導体や電子部品のメーカーが世界的なスマートフォンブームを追い風に業績を伸ばしており、その恩恵を受けている。同社の社長は「何とかやっていける手応えをつかみ始めた。設備の先行投資も視野に入れている」と意欲を示す。
安倍政権では設備投資の即時償却を認め、高度な技術を備えた中小企業を対象にした補助金制度の充実も図った。マテリアルも、この1~2年で老朽化した設備を更新。競争力の向上を図った。同社の細貝社長は「引き続き、意欲のある中小企業が前を向けるような経済政策をお願いしたい」と訴えている。(伊藤俊祐、松村信仁)