市場調査を繰り返すと、20、30代は「飲みやすさ」「香り」への愛着が強いことが判明。「コク」と「キレ」を求める40、50代とはニーズが異なることが分かったという。
冷やしたラガービールは、仕事帰りやお風呂上りに爽快にゴクっと飲むのがおいしいとされるが、時間がたち、ぬるくなると苦みが増してしまう。若者がビールから離れている要因の一つにもなっていた。
一方、複雑な香りと深いコク、フルーティーな味が特徴の「エール」タイプのホワイトベルグは、時間がたっても苦みは増えず、香りが楽しめる。後藤さんは、自宅で映画をみながら、パソコンをしながらの「ながら飲み」をする若者にニーズがあると確信した。
また、後藤さんが仕事帰りに立ち寄る飲食店でも、ベルギービールが流行していた。20、30代の男女がビールを飲む姿をよく見かけたという。全国各地で盛況の「ビアフェス」に若者が来場していたことも、ホワイトベルグの発売への決め手となった。
◆深く狭く愛される商品
社内では「業界内での流行ではないか。もっと検証が必要」との慎重論も出た。しかし、後藤さんは「会社の『広く浅く愛される商品』よりも、『深く狭く愛される商品』との方針に合致している。オンリーワンを積み重ね、ナンバーワンへ、を掲げるサッポロビールのビジョンそのものだ」などと何度も説明。最終の社内コンペでも、役員から「いろいろ思うことはあるが、若年層にとって一番受け入れられる味ならば」と評価され、商品化を勝ち取った。「やっと、客に商品を問える。チャレンジができる」と胸をなでおろした瞬間でもあった。