【開発物語】伊藤園「お~いお茶」 トップシェア支える技術革新積み重ね (2/7ページ)

2015.2.16 05:00

伊藤園の「お~いお茶」は、約70商品が販売されている

伊藤園の「お~いお茶」は、約70商品が販売されている【拡大】

  • 1月下旬に登場した「お~いお茶」の30周年記念商品
  • 「お~いお茶」のおいしさは専用茶葉とその加工に秘密がある
  • 「お~いお茶」の開発を担う原口康弘開発二部第二課課長(右から2人目)ら開発メンバー
  • 「緑茶戦争」が激しくなる中、伊藤園は茶産地育成事業を展開するなどして他社を迎え撃つ=大分県杵築市

 伊藤園は、すでに専用茶葉の茶畑を1000ヘクタール近くに拡大。大量の専用茶葉を調達できる態勢を整えている。

 もっとも、量を増やすだけではおいしくはならない。摘み採られた茶葉は、蒸したり、もんだりしながら乾燥させ、保存が利くようにする「荒茶」など、いくつもの工程を経て商品化される。それぞれの工程に隠れたノウハウがあり、専用茶葉の使用量が少し増えただけで、味も香りもかなり違ってくる。開発陣は今回、それらを再度突き詰めることにした。

 その一つが「火入れ」だ。

 荒茶工程を経た茶葉は、形や大きさが不ぞろいで、味も雑味が残っている。そのため煎ったり、熱を加えたりする火入れによって味と香りを良くしている。お茶のおいしさは火入れで決まるといわれるほど重要な工程だ。

 伊藤園は「新・後火仕上げ」と呼ぶ独自方式を採用。茶葉から余計な部位を丹念に取り除き、形や重さを細かく分別した後で、それぞれに適した火入れを行っている。

                  ◇

 今回の新商品では、そうした火入れでの分別をさらに徹底。「茶師」と呼ばれる火入れに精通した社員を総動員し、火入れの温度や時間を微調整して、専用茶葉の増量に見合うだけの風味を引き出すのに成功した。「茶職人技と、最適解を見つけ出すための地道な努力が加わって達成できた」(原口課長)

 商品化で常に先行してきた伊藤園の開発陣にとって、こうした地道な努力は今回に限ったことではない。初めて商品化したときからいつも経験してきたことだ。

 緑茶は缶に詰めようとすると、緑茶に含まれるカテキンなどが上部に残った酸素と反応し、褐色になってしまう。そこで同社は「ティー&ナチュラルブロー製法」を開発。水に溶けにくい窒素ガスを内部に噴射して酸素を抜く手法を編み出し、世界初の緑茶飲料の発売という称号を手中に収めた。

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