【開発物語】伊藤園「お~いお茶」 トップシェア支える技術革新積み重ね (3/7ページ)

2015.2.16 05:00

伊藤園の「お~いお茶」は、約70商品が販売されている

伊藤園の「お~いお茶」は、約70商品が販売されている【拡大】

  • 1月下旬に登場した「お~いお茶」の30周年記念商品
  • 「お~いお茶」のおいしさは専用茶葉とその加工に秘密がある
  • 「お~いお茶」の開発を担う原口康弘開発二部第二課課長(右から2人目)ら開発メンバー
  • 「緑茶戦争」が激しくなる中、伊藤園は茶産地育成事業を展開するなどして他社を迎え撃つ=大分県杵築市

 1990年にやはり世界初となるペットボトル入りを開発した際も苦労した。ここで問題となったのは、「澱(おり)」と呼ばれる沈殿物の存在だった。澱自体は無害で、入っていても問題はないが、見た目が悪くなり、味も劣化しやすくなってしまう。澱の発生源は、抽出した緑茶に残る茶殻にあった。伊藤園は茶こしとして使うフィルターの目を細かくする一方、香りやおいしさにつながる成分は従来通り通過させる「ナチュラル・クリアー製法」により、茶殻を取り除くのに成功した。

 自社工場で火入れまで自ら行う伊藤園に対し、他社は火入れを終えた茶葉を購入している。原口課長は「緑茶に長く、深く携わっているのでお茶の気持ちが分かる」と強みを強調する。

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 そんな伊藤園は、新市場として海外に目を向けている。米国では、肥満の社会問題化や健康志向の強まりを背景に緑茶市場が拡大。お~いお茶は、シリコンバレーの有名企業が福利厚生の一環として無料で飲めるようにしているほか、和食の浸透とともに販売を伸ばしている。

 一方、タイでも日本のポップカルチャーのイベント会場などで販促キャンペーンを展開。「クールジャパン」の波に乗りつつある。東南アジアや中国では砂糖入りの緑茶が主流だ。にもかかわらず、伊藤園はあえて日本と同じ味で勝負している。その方がヘルシーなこともあるが、日本文化を伝え、緑茶本来の味を楽しんでほしいと考えるからだ。

 原口課長は「他の飲料を試しても結局はここに戻ってくるというおいしさを実現し、より多くの人に味わってもらいたい」と願っている。

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