■消費者ニーズくみ取り若手の力で進化
≪TEAM≫
「お~いお茶」の開発を受け持つ開発二部第二課のメンバーは、原口康弘課長を含めて10人。伊藤園の連結売上高が約4300億円あり、そのうち、お~いお茶をはじめとする日本茶飲料の売上高が約4割に達することを考えれば、多いとは言い難く、むしろ少数精鋭ともいえる布陣を敷いている。
もう一つ特徴的なのが若手の起用だ。メンバーのうち、20代の社員は6人を占める。その中には入社1年目の青山真夕さんを含め、女性社員が2人いる。
緑茶のおいしさには、味だけでなく、香りや見た目も含まれる。感覚の鋭さはもちろん、試飲したサンプルを頭の中で分析し、どの点が優れているか、改善するにはどうしたらいいかを正確に導き出す能力が欠かせず、経験も求められる。原口課長は「味や香りを十分に知らない若手は不利になる」と話す。
もっとも、そこは“実地訓練”で補っている。開発メンバーは、毎日のようにさまざまなサンプルを試作しては、評価している。「作っては飲むことを繰り返していると、だんだんおいしさとは何かが分かってくる」(原口課長)
長い歴史の中で、緑茶の作り方や飲み方は時代に合わせて少しずつ変化してきた。原口課長は「特に現代は、消費者の飲用シーンが多様化している。緑茶飲料も同様にニーズをくみ取り、進化させていく必要がある」と強調する。だからこそ、過去の開発経験を継承し、同時に若い人の柔軟さを生かしていくことが大事だと考えている。