「携帯電話と光通信のセット割引を始めます。大変お得です。犬のクリアファイルを差し上げます。ぜひご加入ください」
2月に入ってすぐ、東京・新宿の家電量販店の入り口で、ある携帯電話会社がこんな勧誘をしていた。一応資料だけもらおうとすると「すみません、パンフレットや説明書はまだできていません。割引になりますのでぜひ事前受け付けを」。対応係員による説明もよくわからなかった。
これまで住宅や事業所向けに「フレッツ光」の名称で、光ファイバー通信回線を直接販売してきたNTT東西地域会社が、契約拡大ペースが頭打ちになったために販売方針を転換。今月から他社による間接販売を“解禁”した。
冒頭の話は先陣を切った携帯電話会社が、大慌てで勧誘を始めた様子だ。
ここでいう「他社」は当初は携帯電話会社やインターネット接続サービス会社(プロバイダー)がほとんどだ。(1)光通信回線(2)インターネット接続サービス(3)携帯電話契約-の3つかそれ以上を組み合わせて販売し、「セット割引」を売り物として顧客に訴求する。
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これ、国内旅行のパックツアーに例えるとわかりやすいかもしれない。パックツアーは、おおむね航空機または鉄道、ホテル、レンタカー(または随行バス)の3点セットが基本で、ツアーならではの大幅値引きが享受できる場合が多い。
NTTの光回線をツアーでの航空機に見立てると、従来は参加者が個別に予約し搭乗していたのが、今回からは新たに設定される事業者向け特別運賃で旅行代理店が仕入れてツアーに組み込むように変わったといえる。