現状の個別契約と比べてどれくらい安くなるかはまさにケース・バイ・ケースだが、加入直後の特別割引期間を除くと、光回線とプロバイダー料金のセットで200円程度、ここに携帯電話が加わると、1000円を超える割引幅になる場合が多いようだ。場合によっては「家族全員で総額10万円以上がお得」という宣伝文句も間違いではない。
それだけ値引きできるほど支払額が多いことに改めて驚く。例えば携帯電話が家族4人で3万円として、光固定回線にプロバイダー料金、さらにコンテンツ費用も含めると、合計で4万円を超えそう。2年間で100万円近い。なるほど、総額10万円の値引きも成り立つなと納得する。
われわれが支払っている情報・通信コストはこれだけではない。CATVや衛星放送の大部分はNHK受信料も含めて費用がかかるし、書籍や新聞、雑誌の代金もある。CDやDVDの費用もある。支払総額で月10万円近い世帯もあろう。
増税や値上げが続くなか、今回のセット料金が上昇する情報・通信コストの助け舟になるのなら、大いに歓迎したい。
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いいことずくめに見えるが、注意しておかなければならないこともある。現時点ではわからない点も多いが、一般的にはセット契約をすれば、変更や解約はかなり面倒になる。例えば別の事業者から画期的なスマートフォンが発売されても、変更が難しそうだ。変更するならサービス全体の解約になりかねず、そのさいはあのまがまがしい「解約金」が発生する可能性も高い。
これは情報通信だけの話ではない。来年、再来年と始まる電力、ガスの小売り自由化でも、この「セット販売」が台頭してくると予想されている。「セット販売」への傾斜はますます進むことは間違いない。