FCVよりエコ?
燃料の製造時から車の走行時まで、全ての工程で排出されるCO2の量を示す「ウエル・ツー・ホイール(WtW)」いう指標が、自動車業界で注目されている。
日本自動車研究所の11年の調査によると、ガソリンエンジン車の走行1キロ当たりのCO2排出量は147グラム。“究極のエコカー”とされる燃料電池車(FCV)でも79グラムだが、EVはわずか55グラムだ。FCVの燃料となる水素が、現状では天然ガスなどから作られており、燃料製造時のCO2発生が多いためだ。
また、EVは燃料代も他のクルマに比べて安い。日産によると、走行1キロ当たりの費用は2円で、ガソリン車(10円)やハイブリッド車(6円)を下回っている。日産、三菱、トヨタ自動車、ホンダの4社は共同で充電インフラの拡大を進めており、国内の急速充電器は現在、約6000基あるという。
今後、EVとFCVのどちらが業界標準となるのか。車両そのものの特性だけでなく、インフラの整備や住宅分野などへの用途拡大が、エコカー普及のカギを握る。(この企画は田村龍彦、高橋寛次、藤原直樹が担当しました)