鉄鋼業界には、日系自動車メーカーの海外進出に合わせて整えてきた供給態勢も強みになる。成長市場のアジアでは現在、JFEスチールがタイで、神戸製鋼所が中国の合弁工場で980メガパスカル級の生産準備を進める。新日鉄住金はインドネシアで、国営企業と合弁で1180メガパスカル級の生産も可能な工場を17年に稼働する予定だ。
そして最大の武器は、生産量の大きい鉄鋼の桁違いの価格競争力だ。鉄は一部高級品を除き1キログラム当たり数十円程度だが、アルミは圧延品の国内平均が約460円(1月時点)。炭素繊維は2000~3000円とみられ、採用は高級車にとどまり、大衆車に普及しにくいのが実情だ。
アルミや炭素繊維は部品の溶接なども難しく、自動車の設計変更や新たな溶接法による設備投資なども負担になる。
鉄鋼業界が優位性を保ち、アルミや炭素繊維の侵攻をとめることができるか。約4000年前から人類を支えてきた鉄鋼のさらなる技術開発の加速や供給態勢の充実が鍵になる。