井植氏の父親の井植歳男氏は、義兄の松下幸之助氏の右腕としてパナソニック(旧・松下電器産業)の成長を支えてきたが、戦後に退社して三洋を創業。その後、三洋の社員らはパナソニックにライバル意識を持ちながら家電事業を展開してきた。
その軍門に下ることに対し、井植氏は、5年前の産経新聞のインタビューでは「ライバルと思って必死で競争してきた相手。私よりも現場で戦ってきた人たちにとって何とも言えない気持ちだろう。しかし、それが最善の道ならばそうせざるを得ない。社員が路頭に迷うことは避けなければならない」と複雑な胸中をのぞかせた。
それが今回の取材では、パナソニック傘下に入ったことについて聞くと「知らない。関係ない。思い出したくもない。もう何年前のことや」と答えを拒んだ。