ただ、自然に飛来する種を育てる方法は、緑化に5、6年と長期間かかるケースが多い。中国ではこれまで、ブルーシートを筒状に縫製して中に土を入れることで柵にしていた。
松本社長は、この柵に砂の移動を防ぐだけでなく、植物を育てる土壌としての役割も持たせたかった。細い糸を直径約10センチの筒状に編み、中に培養土を注入すれば、植物が根を生やすことができると考えたのだ。
この技術の鍵となったのが、ミツカワの「丸編み」だ。丸編みはスポーツウエアや湿布薬の基布に使われており、他の布に比べて伸び縮みしやすい。これを活用したことで、通気性を確保したほか、培養土に埋めた種が発芽する際に穴を開けるなどの作業も不要になった。
さらに、東レのポリ乳酸繊維が採用され、環境への配慮や使用の幅が飛躍的に広がった。ポリ乳酸繊維はトウモロコシのでんぷんから生み出され、微生物によって水と二酸化炭素に分解される「生分解性」が大きな特徴。生ごみと一緒に捨てられる台所用の水切りネットや、自動車内のマットなどに使用されてきたが、「最適な用途を探索していた」(佐々木室長)。そんなとき約40年来の取引があるミツカワから「生分解性繊維を探している」と相談を受け、ポリ乳酸繊維に白羽の矢が立った。
この素材は生分解性に加え、植物由来のため石油由来の素材に比べて土壌などの環境に影響を与える懸念が少ない。紫外線に強く、耐久性にも優れている。緑化を着実に進めることができるためのさまざまな条件がそろっていた。
東レとミツカワは、土が編み目からこぼれず、しかも通気性のあるものを実現しようと考えた。そして、湯で繊維を縮めるなど試行錯誤を重ねてロールプランターを完成させた。