■生分解性繊維と編みの技術が融合
≪TEAM≫
南アフリカでロールプランターを使った鉱山跡地の緑化という新境地を開いたのは、繊維をつくる東レと、それを編み製品にするミツカワの長年にわたる信頼関係が大きな要因だった。
東レ繊維GR・LI事業推進室の佐々木康次室長は入社当時からミツカワを担当し、松本茂登社長とは約30年の付き合い。ミツカワは編みの技術を時代に合わせて、婦人服や車載用シート生地、スポーツウエア、湿布薬用の生地など新分野に活用し、「市場開拓や技術の先端を走ってきた」(佐々木室長)。
そのため、佐々木室長がポリ乳酸繊維の担当として松本社長と再会した2006年当時、ロールプランターによる砂漠緑化に対して、「松本社長が手掛けていることだから面白い事業だと直感した」と振り返る。
実際、開発過程でポリ乳酸繊維の紫外線に強い性質を発見し、農業資材に適するという新たな用途開拓につながった。
一方、松本社長は東レの協力を得て中国の事業を開始する段階で、知己の佐々木室長が担当になり、「タッグが強力になった」と語る。佐々木室長が一時、担当を離れた期間も事業に関わるよう求めたといい、「現地との交渉などで敏腕を発揮してもらった」と全幅の信頼を置いている。
南アのプロジェクトでは、農作物の育成に不可欠な潅漑(かんがい)装置のネタフィムジャパンも参加。イスラエル発祥の世界的な灌漑装置メーカーの同社は、展示会で得た人脈から企業連合を組むことになった。同社の点滴方式の装置は、水源からの距離に関係なく同じ圧力で水を供給でき、保水性の高いロールプランターと組み合わせることで少ない水量でも農作物育成が実現できた。