南アの事業が動き出したのは、10年に開催されたある展示会がきっかけだ。ロールプランターによる砂漠緑化の成果を披露したとき、大使館関係者が着目した。南アは干魃(かんばつ)による砂漠化の進行に加え、資源国として鉱山採掘が盛んだったため、マインダンプ(残土の集積)が風で飛散して健康被害をもたらすという問題も抱えていた。
東レとミツカワは砂煙防止や緑化に加え、食糧不足の解消も目指し、トウモロコシやピーマン、ホウレンソウなどの栽培実験を開始。その結果、培養土の入ったロールプランターを畝状に3本並べる方式を採用した。
プロジェクトは、効率的に水を与える点滴方式の潅漑(かんがい)装置を作るネタフィムジャパンも加え、3社の企業連合に発展。12年に経済産業省の補助事業に採択されたほか、国連開発計画(UNDP)の支援もあり、取り組みが加速していった。
東レとミツカワは、南アや中国で砂漠の緑化や農地への転換に成功した経験を生かし、農地不足などの問題が深刻な国々に活動範囲を広げる方針だ。南アではロールプランターの現地生産を始め、南アから研修生を日本に受け入れている。
アフリカの広大な大地での挑戦は始まったばかり。佐々木室長は「マインダンプはまだまだたくさんある。現地でロールプランターを作り、地域経済にも貢献したい」と話す。一方、ミツカワは福井県の農業試験場と協力し、ハウス栽培のトマトなどへのロールプランターの応用に向けて実証試験を進める。松本社長は「植物工場など農業の発展に、より注力したい」と将来を見据えている。
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