巨額を投じたシャープ堺工場=堺市堺区【拡大】
【漂流 シャープ危機再燃】(中)脱トップダウン対応空回り
「負の遺産」いまなお重く
3月10日、シャープの液晶事業を統括する方志教和専務は、東京都港区の東京支社で開いた事業説明会で「やはり『競合さん』が大変な勢いで営業をかけていたようだ」とうなだれた。
「競合さん」とは、日立製作所とソニー、東芝の液晶部門を統合して誕生したジャパンディスプレイのこと。タッチパネル機能を液晶パネルの中に作り込む技術で先行し昨秋から、中国市場でシャープの得意先を切り崩していた。
だが、方志専務は今年2月に開いた大阪での説明会で「シェア下落は認識できていない」と発言。その頃には業績悪化が明らかなはずだったが、方志専務は「タッチパネルを仕入れている台湾メーカーの破綻で一時的に調達が滞り、こちらが生産停止に追い込まれた」という程度の認識だった。現場からは聞こえの良い情報ばかりが報告されていた可能性がある。