決算会見のリアルタイム中継は、新中期経営計画について沈黙を守った経営陣に対し説明責任を求める声に応じた初の試みだった。本社ビルの大会議室には300人以上の社員が見守った。
ただ、会見が始まり、期待がしぼんでいくのに時間はかからなかった。リストラによる固定費削減が目立った再建策に「銀行の言い分ばかり飲んだのか」と次々と席を立っていった。ある工場では机をたたきながら「なんでこんなことになるんや」と叫ぶ社員もいたという。
関係者は「指示を避ける社長が珍しく『5月14日まで待て』と命じただけに少しは期待したところもあったが、従来の事業説明会で打ち出した内容を焼き直した社内カンパニーの方針に失望や不安が広がった」と打ち明ける。
翌週の5月18日から主要な事業所や工場で高橋社長の緊急ビデオメッセージを上映し、巨額赤字を計上し希望退職の募集を決断したことを「会社のトップとして申し訳なく心苦しい」と謝罪。「意思決定が迅速にできず、急激な変化に対応できなかった。構造改革も不十分だった」と敗戦の弁を語った。