記者の質問に応じるシャープの高橋興三社長(奥中央)。会見は社内で中継された=東京都港区(栗橋隆悦撮影)【拡大】
ビデオメッセージではその後、国内で3500人規模の希望退職募集と社内カンパニー制の導入を柱とする新中期経営計画に理解を求めた。続いて事業部トップらが説明したが、本人が直前に方針を聞かされたばかりで「大丈夫だ」と根拠なく繰り返すだけのケースもあったという。
このため、高橋社長の思惑通り全社一丸となった再建に臨む雰囲気とはほど遠いという。
時期がくれば…
失望が広がった背景には経営陣が社内の情報管理を徹底したこともある。主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行と協議中だった再建策について「非常にきつい情報統制を経営幹部の中でも敷いた」(高橋社長)といい、報道が先行していた。
加えて、高橋社長は誤解を招きかねないメッセージを送っていた。2月の時点では否定していた希望退職の募集に踏み切ると報道が流れた3月19日の翌日、社内放送で「いろんな憶測で書かれており、皆さんもそういう報道にあまり惑わされないように」と訴えたのだ。