記者の質問に応じるシャープの高橋興三社長(奥中央)。会見は社内で中継された=東京都港区(栗橋隆悦撮影)【拡大】
一方で会見で、高橋社長は「経営が間違っていなくて、こう(経営危機)なるわけはない」と経営責任は認めたが、「身を引くのはひとつのやり方だが、経営危機の原因となった外部環境の変化に強い会社にするのが私の責任だ」と強調した。
ただ、業績不振や経営危機が表面化して以降、主力行との協議を優先するあまり社内の対話が後手に回ったあげく、高橋社長がそのまま残留するなど経営トップの責任の取り方についても不信感が芽生えているという。
相次ぐ経営危機で後がないシャープの経営再建には今こそ「気持ちを新たに、そしてひとつに」なることが必要だが、情報統制や誤解招くメッセージ、先行き不透明な再建策などがもたらした社内のしこりは意外と根深い。
高橋社長は5月14日の会見で「社員とどう向き合うかは今日から始まる大きな課題だ」と述べたが、「10人に1人が人員削減で会社を去るのに気持ちをひとつになんて…」などの社員のぬぐいがたい思いが再建の足かせになりかねない。