東京電力の石炭火力発電所、常陸那珂火力発電所。原発事故と電力小売り自由化で石炭の存在感が増している=茨城県東海村(同社提供)【拡大】
環境省が石炭火力発電所の新設に“待った”をかけたことに、産業界からは「環境省のパフォーマンスだ」(大手電力関係者)などと反発の声が上がっている。「新設ストップ」は、政府の温室効果ガス削減目標に支障をきたすとの理由だが、かといって、液化天然ガス(LNG)など他の火力燃料はコストがかさむ。また、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを増やせば、固定価格買い取り制度を通じ、費用が電気代に上乗せされる。「原発ゼロ」が続く中、石炭火力も“ダメ”となれば、上向きつつある景気に冷や水を浴びせかねない恐れがある。
建設計画めじろ押し
「こうなるのは分かっていたのだが…」。今年3月31日、東京電力の幹部はため息をついた。
この日まで東電が実施していた火力発電の建設・運営を担う企業を募る入札で、応札のあった10件中、実に9件が石炭火力だったからだ。LNGなど他の燃料で火力発電を計画しても、「コストで石炭には勝てない」と判断した事業者が応札をためらったのだ。結局、応札は453万キロワットと、募集規模の600万キロワットに届かなかった。