チョコレートの機能性に関する研究は、これまでは欧米がリードしていた。昨年3月に愛知県蒲郡市、明治、愛知学院大学が産学官共同で実施した「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」は、日本人を対象とした大規模な実証試験で、この試験の結果、チョコレートが高血圧や動脈硬化の予防に効果があり、脳の認知機能の改善にも役立つ可能性が示唆された。明治では、こうしたチョコレートの健康効果に着目し、大人の嗜好(しこう)品としてチョコレート事業を強化していく考えだ。
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■「こだわり層」「健康志向」が市場を牽引
チョコレートの国内市場規模は、菓子では過去10年間で最も伸長した分野だ。最近10年間の伸長率は、チョコレートが19.5%増とスナック菓子の17.0%増、米菓の16.1%を上回っている。昨年度で生産金額は5000億円規模まで成長し、和生菓子から生産金額トップの座を奪った。
チョコレート市場拡大の波はこれまでにおおむね3回ある。まずは、90年代のバレンタインブーム。2000年代に入り、明治の「フラン」など各社がヒット商品を発売したことで市場をさらに拡大した。そして13~14年に健康イメージを打ち出した機能性に着目したチョコレートが登場し、それまで子供向けだった市場が大人にも拡大した。