こだわり層のニーズに応えるプレミアムチョコと、高まる健康志向に対応する機能性チョコの2本柱で「大人の嗜好性に対応したチョコレート文化の近代化を図っていくことでチョコレート需要を喚起していく」(伊田部長)のが明治の戦略だ。
その根本にあるのがカカオ豆からチョコレートを一貫生産する「Bean to Bar」という考え方だ。チョコレートは、カカオ豆を発酵させて製造するカカオマスにミルクや砂糖、香料を混ぜて製造する。通常は原料としてカカオマスを調達してチョコレートに加工するのだが、「明治はほとんどカカオ豆から調達して、自前でカカオマスも製造している」(伊田部長)という。
すでに10年前から「カカオプロジェクト」を立ち上げ、カカオ産地に技術者が赴いて独自にカカオ豆からカカオマス作りに取り組んできた。
こうした積み重ねが、カカオポリフェノールが豊富な機能性チョコレートやカカオの味わい、香りの良いプレミアムチョコレートの商品開発に生かされている。
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■カカオが脳の認知機能改善に一役
愛知県蒲郡市、明治、愛知学院大学が産学官共同で昨年3月から実施した実証試験は、45~65歳の蒲郡市民など男女347人を対象に行った。
カカオ72%の高カカオポリフェノールチョコレート(1粒5グラムでカカオポリフェノール含有量127ミリグラム)を1日25グラム(5粒)4週間毎日摂取してもらい、摂取前後の血圧、脂質・糖代謝、体重、BMI(体格指数)を測定した。血液検査も行った。